最近の映画でも見よう、と思って借りて見た。
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒があまり好きじゃなかったから、見るの勇気いった。
もう私は今の映画に付いていけないのではないか、と不安だった。
結果、めちゃくちゃ好きになって感動してしまった…
(ネタバレあり)
ワンダーウーマンはスーパーマンみたいな、別の世界から来た超人で、他の人間とは一線を画している。
だからこそ、孤独も感じる。
私みたいな孤独な女には、女の連帯をアピールされるより、こういう方が合っている。
もちろん、私はワンダーウーマン…ダイアナでは全くない。共感もほとんどできないのだが…
この映画のすごいのは、ヴィランの親近感だ。
私は2007年のスパイダーマン3からアメコミ映画を好きになったが、とにかくヴィランが好きで偏った見方をしてしまう。
ダークナイトのジョーカーはすごかったし、映画ジョーカーもすごかった。
でも、結局はジョーカーは元からカリスマ性や能力は凡人とはかけ離れている、と思う。
凡人はヒーローはもちろん、ヴィランにすらなれない。
自分の中でどんなに苦悩していても。
なれても映画に出れるレベルではない…
と思っていた。
この映画を見るまでは。
WW1984のヴィランは能力がなくても上手くやれてしまう。
何でも願いが叶う石、という単純で都合の良いアイテムによって。
マックス、最初出てきたとき、冴えない人物…と思った。まさかメインヴィランだったとは。
アイテムのおかげですごいことをしでかしてしまう。
世界滅亡させる寸前までいく。
凡人がスーパーヴィランとしてスーパーヒーローを苦しめる。
すごい。
もう1人のヴィラン、チーター…バーバラにはもう、私は感情移入しまくり。
(私はあんなに綺麗じゃないけど)
ダイアナになりたい、という願いが彼女を侵食していく…
凡人としか言いようのない人間がヴィランになる。
今の自分じゃない人間になりたい、という願いが暴走し、連鎖していく。
ワンダーウーマンはそこにどう立ち向かうのか。
それはとても古典的で単純な方法だった。
真っ当で、正当な真実を説くワンダーウーマンだけど、私は感動してしまった。
綺麗事かもしれないけど、物語の力を感じた。
映画を見た人が現実世界でも挫けずに生きられるように発せられたメッセージを感じた。
大味で冗長な話なんだけど、今の現実を生きている人間をどうすれば救えるのか(救うというのは無理でも力づけられるのか)ということをよく考えられた作品だと思う。
その志に私は痺れた。
私はずっとヴィランに自分を重ね合わせて見てしまっているから、こんな親近感の湧くヴィランを出して最後まで丁寧に見せてくれる作品と出会えて嬉しかった。
最後にバーバラはチーターの能力を失う。
バーバラはダイアナになれなかった自分を受け入れて生きないといけない。
それは、苦しいことだろう。
それでも、夜明けは美しくバーバラを迎える。
バーバラに救いがない、という感想を見たけど、安易に救わないのが現実的で良かった。
別に救いなどなくても、人は自分を救うことができる。
(その象徴としての夜明けだと思ったんだけど、どうだろう)
マックスは息子のアリスターの元へ行く。
自らの過ちを悔い、息子に愛してもらえるように、誇ることのできる父親になることを誓う。
しかし、めちゃくちゃよくできたこ息子は父親をそのまま受け入れる。
(甘)
とにかく、ヴィランに対する丁寧な扱いが良くて感動。
視点がおかしいが、いつもヴィラン目線なので嬉しかった。
ワンダーウーマンは綺麗だし、彼女の背負っているものや苦悩もよく描けていた。
作品のテーマでもあるが、みんな悩んでいる。
なんだかんだでこの世は能力主義的なものから逃れられないと思うが、凡人と位置付けられる人間がどう生きれば良いのか、ということに取り組んだすごい作品だと私は思った!
超人を描きつつ凡人を描いた映画!
これは見ないと分からなかった。すごい。
この映画を見て、私はなんか許された気がした。
ずっと、悪役が好きだった。
それは人に共感されるものではないと分かっていた。
母には明らかに嫌悪されるから言わなかった。
それは罪の意識を感じさせた。
アメコミではヴィランも主人公と同じくらい注目されているし、その魅力が作品の魅力を左右することを知って嬉しかった。
ヴィランは最後死ぬことも多い。それでも幸せになって欲しい、と思う。
そんなこと思ってはいけないと思いながら、思ってしまっている。
ヴィランじゃなくてヒーロー側を好きにならなければ、って思うのに上手くいかない。
(ヒーローも好き。バットマンが特に好き。スパイダーマンも好き)
悪役に共感したら魂が汚れる気がしていた。
私は汚れているな、って思っていた。
でも、そうじゃないのかな、って思えた。
なんか…悪役も人間なんだな、って思えた。
人間なんだな、って思って良いんだな、って思えた。
(神とか悪魔などの人間じゃないヴィランもいるけど)
私の魂は汚れていないし、人間なんだな、とよく分からないけど嬉しくなった。
ワンダーウーマンという作品を取り巻く空気のようなものが私を許してくれた。
私の好きなように映画を見て、好きになるものを好きになって良いのかな、って思えた。
(今までもずっとそうしていたけど)
もっと色々見たくなった。