おはんこ日記

映画の感想など

バットマン:デス・イン・ザ・ファミリーを見た

私の好みど真ん中のストーリーだ!と思って見て、やっぱり私好みだ!と思って、満足した。

もともと私がアメコミ映画を見たのはファンタスティック・フォー【超能力ユニット】からで、本格的にハマったのはスパイダーマン3バットマンダークナイトから…
全部、もともとヒーローの仲間だった人物がヴィランになるという展開がある。

 

そんな大好きな展開があるのだけど、今回はただの仲間ではない。
バットマン…ブルースの息子のような存在である2代目ロビン、ジェイソン・トッドが死と復活によって敵対する存在になっていく…という悲劇が描かれるからこの上なく辛い…でも見ていて楽しい。
ジェイソンはレッドフードというダークヒーローになって躊躇いなく悪人を殺すが、ヴィランではないようだ。

特典に音声解説がついていて、2人の男女が明るく楽しく解説してくれるのを聞けて、より作品を理解できて面白かった。
ジェイソンが死ぬシーンはただでさえ辛いけど、そもそもコミックでは電話投票で生きるか死ぬかを決められていたというのが辛すぎ…(僅差で死ぬほうが上回ったので死んだ)
でも、その死を無駄にせずに活かしてバットマンの世界はより深まったのだし、さらに前よりも魅力的な存在としてジェイソンは復活することもできた。
そういう数十年にわたってのバットマンの歴史、ドラマの深さを感じることができて圧巻だった。


バットマンとロビンってただの仲間というか兄弟みたいな存在なのかと今まで思っていたけど、父と子の関係なんだということに気づけた。
そんな子供の一人が死んでしまった辛さ…生き返ったのに自分とは反対の思想を持って人殺しとなり、ヒーローになろうとするという悲しさ…ブルースの苦悩がものすごく伝わってきた。

この作品の特徴はこちらが選択肢を選ぶことによって、結末が変わっていくという仕様があること。
ロビンを生き残らせるか死なせるかの選択…80年代にコミックの読者が投票したことと同じような体験ができるのだ。


でも、「死ぬのは悲しいから後にしよう…まずは幸せになってほしいから~助かるにしようっと♪」と気楽に選んでみたら、助かったはずのジェイソンがどんどんゆがんだ方向に行き…ブルースとタリアの子供(ダミアン)を使って復讐しようとするというなんとも微妙なENDになってしまった。

私はジェイソン・トッドのことを何も知らんかったな…と反省した。ジェイソンは両親を亡くして(父親はトゥーフェイスに殺されて)その後ブルースと出会うまで一人で生きてきた。
彼の中には暗い過去から来る闇があり、ブルースが助けようとしても助けきれない部分がある。
幸せを願って選択肢を選んでも、なかなか幸せになってくれないジェイソン…切ない。

 

選択肢によってはジェイソンが宿敵であるトゥーフェイスに復讐するという展開が見られる。
私はトゥーフェイスが大好きなのでめっちゃうれしかった~!!

ジェイソンを殺すかどうかのコイントスで表か裏かの分岐が出るのが良い!
トゥーフェイスの運命を私が決めて良いの?!って興奮する!!

表が出たら殺さない、裏なら殺す…ではない、単純ではないトゥーフェイスなんだけど、そういうところも好きだな。

出演シーンは短いが、トゥーフェイスの魅力は十分に感じる。
バットマン・フォーエバー」みたいな馬鹿さはないが、「ダークナイト」みたいな悲劇性もない。賢く恐ろしいヴィランである。
ジェイソンの親だけでなく沢山殺しているから復讐されることに慣れっこになっている。また、どうすればジェイソンを苦しませることができるのか分かっている。

ハービーはジェイソンと似たところがある…もともと正義の側に立ち、またブルースの友人でもあったから。
(殺人もするとはいえ、あくまで正義側にいるジェイソンとヴィラン側にいるハービーとでは大分違うが…)

トゥーフェイス好きだからトゥーフェイスの話したけど、メインヴィランはジョーカーだ。
この作品のジョーカーは怖いしシリアス性が強い。
あんまりユーモアがないけど、ジェイソン殺すのにコメディみたいなのになっても微妙だからこれで良い気もする。
あと、選択肢を選ぶたびにブラックマスク(ハーレイ・クインの覚醒に出てきたヴィラン)が死んだり死にかけたりするんだけど、セリフもほとんどないのに、まあまあ強そうなんだけど小物な成金感が伝わってくる。

 

仲間で息子のような存在だったジェイソンの死という厳しい運命に直面し、さらに復活からの敵対というキツイ展開に直面してもブルースはジェイソンとは違う道であるバットマンであり続ける。
バットマンのすごさを改めて思った。
バットマンの数十年単位の歴史の中で、多くの人がそれぞれの解釈でバットマンと向き合ってきたという重みも感じる作品だった。