おはんこ日記

映画の感想など

『スーパーマン/バットマン:パブリック・エネミー』を読んだ。

DCEUの映画などを見て、本でも読みたいと思ってこの本を読んでみた。
スーパーマンバットマンも出てくるのが良い、と思ったから。

 

映画「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」の公開に合わせて、日本では2016年に出版されたようだ。
アメリカでは2003年に発表されているから、20年くらい前の作品になる。

 

ストーリーは…
スーパーマンの故郷のクリプトン星の残骸である小惑星が地球に接近するという危機が訪れる。
このまま地球に衝突すると滅亡する?!という危機に対し、合衆国大統領となっていたレックス・ルーサーはスーパーマンを潰すために利用する。
多くのヒーローがスーパーマンを追い詰める中、スーパーマンバットマンと協力して危機からの脱却を図る…

 

読んだ感想は…とにかくボリュームがすごい。
ページ数的にはそうでもないんだけど、内容が濃い。

そもそもアメコミをほとんど読んだことがなかったので、わからないことが多く、解説を読みながら読むのにすごく時間がかかった。
ヒーローやヴィランがものすごい数出てきて、誰?ってなる。

さらに未来からきたスーパーマンとかも出てきて、なかなか複雑。
でも、分かりにくいということはない。
1冊ですっきり終わって、ヒーローやヴィランの生きざまの恰好良さも味わえて、DCの世界の知識もついて、なかなかお得な一冊。

 

ヒーローって、皆大体ピチピチのスーツを着ないといけないから嫌な人は嫌だろうな、ってどうでもよいことを思ったり…

キャプテン・アトムという冤罪で人体実験されて銀色のムキムキの超人になった人が出てくるが…見た目ダサいけど、ヒーローの誇りをもって働いていてすごく格好良い。

意に反して体を変えられた、という意味では冒頭に出てくるヴィランのメタロも印象的…スーパーマンを襲う凶悪さだし、ブルースの両親を殺した疑いもあるけど、誕生日に墓場にきて自分の死体を掘りに来ているところが何だか切ない。脳を移植された金属の体が壊れかけているということらしいが、土に埋まっていた死体に今更脳を戻して上手くいくのだろうか…?

 

体を変えるという意味では、レックス・ルーサーのスーパーマンを倒したいという気合いもすごい。
宇宙の権力者であるダークサイドと取引して特注のアーマーを作って着たり、肉体も強化するためにドーピング剤(バットマンヴィランであるベインが使っていた毒)やクリプトナイトを注入したりしている。
圧倒的な力のある宇宙人であるスーパーマンと対峙するために払う代償は重く、体内に入れた毒の副作用で正気を失いかけている(精神症状が出ているということだろう)

そこまでしてスーパーマンを倒したいという執念はすごい。
毎朝、スーパーマンの憎しみを感じながら目覚めるということだから、体や精神が蝕まれてもスーパーマンを倒せる力を持てる方を選ぶ方が総合的には楽なんだろう…
やっぱりバットマンの運命の相手がジョーカーであるように、スーパーマンの運命はルーサーなんだな、と納得。

正直、今までレックス・ルーサーにあまり魅力を感じていなかったけど(見た目は地味だし、あまり笑わないしそっけない印象だったし)
金や権力や名誉を捨ててでもスーパーマンを倒したいという不条理な願いを抱き、その実現に邁進しているルーサーはやっぱり魅力がある。
金や権力や名誉を捨てて、ヒーローに対する個人的な恨み(逆恨みであることが多いが)を晴らそうとする、というのはヴィランあるあるではあるが、アメリカ合衆国大統領にまで上り詰めたヴィランはそうはいない。
その地位をあっさりスーパーマン打倒のために捧げてしまうからすごい。

スーパーマンというヒーロー界の頂点に立つヒーローの宿命の相手は、ヴィランの頂点に立たなければならない。ルーサーにはその力がある。
それは表面だけではなくて、内面にもある力…敗北してすべてを失い、みじめな境遇に突き落とされても、自分をみじめだなんて微塵にも思わず、宿敵…スーパーマンへの復讐を誓う強さ。
そのブレのない強さと一途さにスーパーマンを思う心に私はすっかり魅了されてしまった。

 

私はヴィランが好きだからレックス・ルーサーのことを長々と書いてしまったけど、たくさんキャラクターが出てくるから見どころ多いと思う。

メインのスーパーマンバットマンとの共闘も面白い。
対立するわけではないが、お互い理解できる部分とできない部分があるよね、って感じで冷めている。でも、理解できる部分は誰よりも理解しているし、ばっちり協力する。

日本も少し出てくる。
カタナと2代目トイマンの岡村ヒロが出てくる。
カタナ…いかにもアメリカ人が考えた日本人女性キャラで、首から上はこけし、首から下は武将という見た目で日本刀で戦う。これはこれで格好良いな、って思う。