おはんこ日記

映画の感想など

本でも映画でもなく…お粥を食べた。

図書館で予約していた本の順番が回ってきて、読まないといけないんだけど、読むのがしんどくて全然読めていない。
読んだら面白いんだけど、ただしんどい。

また、大好きな金田一少年の事件簿のドラマが始まったのに、第一話しか見れていない。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム見たいから、その前に予習とかもしたい(せめてホームカミングだけでも…)と思っているのに、それも見る気が起きない。
バットマンの新作も気になるけど…

 

という、娯楽すら摂取するのがしんどい状況の最近。
それでも、やらなきゃいけないことだけやっているのもな…と思って、何か楽しみが欲しいんだけど…と思って、お粥みたいな動画を見ている。

お粥みたいな動画とは何かというと、昔好きだった映画の、昔好きだったキャラクターの、昔好きだったシーンだけが切り取られた動画…
ダメなんだけど、見てしまう。

 

好きになるのはヴィラン系なのでそういう動画を見ている。
(悪役じゃないけどジャスティス・リーグのスーパーマンが生き返って、混乱して味方に攻撃する…みたいなシーンは好きで何回も見ているな…行動が悪っぽくて格好良い。目から赤いビームが出るのは美しい…)

アメコミじゃないんだけど、高校生のときに見たライオンキング2のヌカというヴィランが気になって調べて見たりとか…

ヴィランと言っても、母親のジラの言うとおりに復讐に燃えているだけで、ヌカ自身はあまり悪役っぽくはない。まぁ、復讐に燃えているジラもスカーを殺されたという理由があるんだけど、スカーが悪なので、その復讐をするジラも悪というのは仕方ないのかな…そういう意味では、ヌカも善側のシンバやその娘のキアラを殺そうとしているから悪なのは間違いないんだけど…

母親のジラが大好きなのに、ジラは弟のコブばかり目をかけて、スカーの後継者にしようとしている。
それでも、自分に注目してほしくて必死で頑張り、最終的に命を落としてしまうヌカに私はかなり同情してしまった。
結構同じ感想の人はいるんだな、と動画のコメント欄を見て気づき、安心した…

最後は悲劇的だけど、その前はコミカルな楽しいキャラでそこを見るのも好き。
(今見ると、母親に虐待され無視されているのに愛を求めている悲しいライオンなんだけど…ヌカ自身、頭も良くないけど、それでも明るさがあって…ディズニーの悪役の中ではやっぱり一番好き)

そういう感じで(どういう感じ?)好きなシーンの動画を見たり、そのコメント欄を見て、共感できるコメントを見て嬉しくなったりしていた。

 

アメコミの動画も見て、やっぱり好きだな、って思って、買ってたけど読んでいなかったコミックを読み始めた。

色々なヒーローやヴィランが出てきて華やか。
情報量が多くて(解説の紙もついていてアメコミの歴史の厚さを知ることができる)まだ40ページくらいしか読んでいないけど、充実感がある。

 

お粥を食べていたけど、少し回復できた。
図書館で借りた本も期限内に読みたい。

読んでいるのはこれ↓

 

 

4月に読んだ本。

4月には3冊本を読んだ。

 

1冊目は…

自閉症スペクトラム症の女の子が出会う世界;幼児期から老年期まで」サラ・ヘンドリックス。

自閉症スペクトラム症の女性たちにインタビューした体験談が集められている。

最初は統計についての話から始まるので読みにくいが、いかに女の子の自閉症スペクトラムが診断されにくいかというのが分かる。

正直…ここに集められた声に共感できる部分が多くて、私も自閉症スペクトラムのどこかにいるのかもしれない、と思った(スペクトラムだから端っこも含めたらかなりの割合の人がどこかにはいるはず)今まで自閉症スペクトラム症の話としては聞いたことがない話も結構ある。

ASD自閉症スペクトラムの略)の女性の話って、極端に変わった人か、またはある程度コミュニケーションが取れて普通の人と変わらない人の話を見ることが多い(私の観測範囲が狭いだけかもしれない…)
すごく変わっているわけではないけど、孤立しがち、という中途半端なタイプってあんまり自閉症スペクトラムとして語られていない気がする。
定型発達の人でも努力してコミュニケーションを取ったり、努力して周りと合わせようとしている人は多いから、そんなことを言っても甘えと捉えられる危険があるから言いにくいのかもしれない。

そういう意味で、また他の意味でも、匿名で多くの自閉症スペクトラム症の女の子~女性の話を多く取り上げたこの本は貴重だ。
日本でも未診断だけど、違和感や生きにくさを感じている女性は多いはずだ。私みたいにこの本を読んで共感したり、仲間がいる感覚を感じられる女性も多いかもしれない。
そういう意味で、おすすめの本。

 

2冊目…

「詩の中にめざめる日本」真壁仁

1966年初版発行の本。
多くの詩が収められているが、そのほとんどが有名ではない詩人の作である。
生活に根差した詩や、当時の社会問題を訴える詩がある。

まず、2番目に収録されている浜口国雄(国鉄職員)の便所掃除の詩に惹かれた。
当時の国鉄の駅の便所…めちゃくちゃ汚くて臭くて、床に大便は大便、壁には落書き…という絶望的な状況。文句も言いたくなるだろう…
それでも、きれいに掃除する様子が詳細に書かれていて、最後は爽やかである。

広島の原爆で生き残ったお婆さん(池田ソメ)の詩も好き。
救出された後、死んだと言われて「生きとる 生きとる」と答えるユーモラスさ。

神戸の小学生(村井安子)の詩があり、指導したのが当時先生だった灰谷健次郎(後に「太陽の子」などを書いた児童文学者)その詩は関西弁で素朴な文章ながらキツい内容(今なら絶対に実名で出せない)。犯した罪は消えないという後悔と、そこから人生をどう歩いていくのか…そこまで書かせる厳しさと人間への信頼を感じる。

あと、三野混沌という詩人の農民として働きながら書いた素朴な詩が載っているが、その妻だった吉野せいは後に夫よりも有名な詩人となるようだ(代表作は「涎をたらした神」)

吉野せいについて調べると、貧しいながらにそれなりに楽しみもあった夫とは違い、働き子を育てることだけに必死にならざるを得なかった妻の姿がある。夫と同じくもとは作家志望だったのに、夫だけが詩を書くことができ、自分は詩を書く余裕もない…という妻のどうしようもない気持ちが三野の素朴な詩の裏には隠されているのだと思うと、なんとも言えない気持ちになる…とはいえ、現代の都会で暮らしている私の方が三野混沌よりも明らかに恵まれているのだから、私は三野について何か言える立場にないな。

…最後は変な話になってしまったが、1960年代当時の人々が書いたバラエティに富んだ作品が収められていて面白いのでおすすめ。

 

3冊目…

 

アメトーークの読書芸人で取り上げられていたのを思い出し、読みたくなって読んだ。

1作1作が濃い短編集。
確かな知識、思考の元に書かれているが、読むのは難しくはない。文章が簡潔で読みやすい。
タイムマシン、AI、ロボットたちの国、みたいな親しみやすい題材が多いけど、味付けが面白い。

SFとしての設定も面白いんだけど、人間の描き方もしっかりしている。人間は良く生きるべきである、という倫理観があるので安心できる。
しっかりした倫理観がない小説は面白くならないと言いたいわけではないが、この作品についてはそこが大きな長所だと思う。

簡潔な文章に、面白い設定、引っ掛かりのない人間描写、という全てが無駄なく充実した小説で、読んだときに大きな満足感があった。

…というわけで、読んだ3冊とも当たりで、満足した4月だった。

 

 

公園で(自分は人間じゃないかもしれない)と考えること

「好きな公園」というテーマにかこつけて、好きなことを書く記事…のはずが、今週のテーマですらなくなってしまった。でも、書く。

 

好きな公園は、なんてことのない、近所の公園である程度開けていてベンチがある公園。気軽に行ける所が一番だと思う。

(画像の公園にはベンチがない…)

今は子供と共に公園に行く機会が多い。休日には遠出して、大きめの公園に行くことがある。

そのとき、1家族ではなく、2つ以上に家族で公園に行っている親子連れを見ると、すごい!って思う。
テントみたいなものを立てていて、テーブルとイスセットも持ってきたりしていて、みんなで食事していたり、おやつを食べていたりする。
親同士も子供同士も仲良くて、お父さんたちが明るく楽しく盛り上げていて、お母さんたちももちろん息が合っていて…

家族同士でお出かけして…とまではいかなくても、平日に仲良しの数組の親子(お母さんと子供)が遊んでいるのを見るだけでも、私からしたらハードルが高く、ほとんどできていない…

公園でそういう家族を見ていると、人間は社会的動物であることを実感する。「人間は人の間にいるから人間」なのかなぁ?って思う。
金八先生で聞いたセリフだったと思うんだけど、検索しても出てこない…違うのかもしれない)

「人の間にいるのが人間なのだ」とすると、私は人間なのかな?って思ったりする。
自分の家族がいるのに何を言っているのか…と言われるだろうが、思ってしまう。
家族と他の他人はやっぱり違うというのもあるが、もともと私は自分が人間じゃない気がする…とよく思ってきたので、その延長でもある。

 

子供のころは、私は人間ぽくないなぁ…とよく思っていて、ナメクジみたいなものだなぁ、と思っていた。
自分を蔑んでいたわけではなく、よく庭でナメクジを見ていて可愛いと思っていたし、群れているのを見たことがなかったからだ。
なぜそんなことを思っていたのかと言うと、子供ながらに「人間は人の間にいるから人間なのだ」ということを何となく思っていたのだろうと思う。
いや、その頃も家族はもちろん、遊ぶ友達もいないわけではなかったが、イマイチやりとりが上手くいっていない気がしていなのだった。

そういう風に、自分が人間であることに揺らぎを感じることはずっとあるが、公園もそういうことを感じがちな場所である。
子供がいる良い年の大人が何をやっているのか…と思うが、実際そう感じてしまう。

とはいえ、私ももう大人なのだから、一歩進んだ考え方をしないといけないような気がする。
例えば、「人の間にいるから人間」という考えに囚われてしまっても、そもそも地球が丸い限り、どんな孤独な生き方をしている人間でも、物理的には人の間に生きているはずである。
意味が違ってくる気もするが…でも、こじつけでも自分を幸せな状態に自分でできるのが大人だと思う。それが、人類を幸せにする第一歩なのだから(多分)

そういう風に(?)揺らぎながらも、子供と公園で、私は自分は人間なのだ、と再確認する。再確認するように自分を励ます。

でも、やっぱり、自分はまだ人間に至れていない気がするので、周りの人間の服装や行動をよく見て真似して、よりよく人間を目指そうと思う。
うっかりしていると、季節外れの服装をしてしまい、変な人間になってしまう。
(変な人間でも人間であることに間違いはないが…)

 

よく分からない文章になってしまったけど、同じようなことを考えながら公園にいる人は他にもいるのかもしれない。

 

 

 

スパイダーバースを見た。

2018年公開のアニメ映画、スパイダーバースを見た。
(ネタバレあります)

スパイダーマン久しぶりに見たけど、あぁこういう感じだったな!って思った。
主人公は子供(高校生)で、子供の生きる状況の悩みが描かれる。
親しみやすい。

 

明るく親しみやすいながらに、身近な人がヴィランだったり、死んでしまったりするのでキツイな、って思ったりもする。
この作品でもスパイダーマンがあっさり死んでしまう。その後もう一人死ぬ。

その後主人公のマイルズがスパイダーマンを継ぐんだけど、一人でうまくいくわけではない。
時空の歪みにより他の世界からやってきたスパイダーマンたちがやってきて、元の世界に戻ろうと手を尽くしながら、マイルズが成長する手助けもする。

おじさんスパイダーマンや、日系の女の子とロボットのコンビのスパイダーマンや、豚のぬいぐるみみたいなスパイダーマン、白黒の探偵みたいなスパイダーマンがいて、にぎやかだ。
クラスメイトの女の子、グウェンもスパイダーマンだし…

そんなスパイダーマンたちに囲まれて、マイルズは悲しい出来事を乗り越えて、自分の持てる力を開放して、スパイダーマンになる。

 

王道といえる展開だけど、映像のきれいさとか、(コミック風の演出や壁の落書き…ではなくてグラフィティっぽい絵柄だったりする)飽きの来ない展開、マイルズが大人たちに見守られながら成長する様子とか…安心して楽しめる。

子供の頃に見たかったなーって思う。嫌なことがあっても自分に負けずに真っ当に生きよう!って思える。
私は今もだけど、子供の頃はひねくれ過ぎていたから…

 

色々なスパイダーマンがでてくるけど、ヴィランも多く出てくる。
メインはキングピン、あとはグリーンゴブリン、スコーピオン、トゥームストーン…
グリーンゴブリンが巨大モンスターみたいでびっくり。人間味がないけど「ノーマン」って呼ばれている…

私の一番のお気に入りはドック・オク。
その正体はオットーではなくオリヴィア・オクタヴィアスという女性。
最初アームを出して正体を現すシーンには興奮した。
女性ヴィランってかわいかったりセクシーだったりすることが多いけど、そうではないし、かといって醜いわけでもなく、ただ科学が好きすぎるマッドサイエンティストな女性っていうのが良い!
(別にかわいくセクシーなヴィランがダメってわけじゃなくて、そうじゃない人も良いよね、って話。元祖ドック・オクも原作では肥満体の中年男性だし…)
自分の興味に貪欲なところが好き。続編にまた出てきて欲しいな。

やっぱり、スパイダーマンは「親愛なる隣人」というだけあって、親しみやすくて好感が持てる。
バットマンの面倒臭さも好きだけど…)

 

スパイダーマン・ファー・フロム・ホームは見たし、なかなか面白かったけど、あんまり信用できなかった。
アメージングスパイダーマン2が救いないままで終わってしまったから、辛くて…

でも、ノー・ウェイ・ホームに過去のヴィランたちも出てくるようなので、絶対見ようと思っている。

 

 

3月に読んだ本。

沢山読みたいと思っていたけど、読んだのは3冊というか、3冊弱(1つは雑誌に載った1作品なので)

 

まずは1つ目。

 

文藝 2022年春季号に掲載された宇佐見りん「くるまの娘」

芥川賞受賞後第一作。
まだ「推し、燃ゆ」読んでいない。読みたいとは思っている。
この作家の作品は初めて読んだ。

高校生の女の子とその家族の話だけど、厳しい、辛い、逃げられない苦しさ、でも、決してそれだけではない、家族への溢れる愛情もある、という複雑な心情が描かれている。

父親はDVとモラハラをする男。
一応主人公の扱いが一番マシ(愛玩子というほどではないが)で、もっと扱いが悪かった兄や弟は家を出ている。でも、そのせいで父親の生い立ちに同情してしまったりして、家から逃げられなくなっている、とも言える。
母親は脳梗塞の後遺症のためか精神的に不安定で、手が付けられなくなることがある。

読んでいて辛くなるシーンもあるが、両親はただの毒親として描かれているわけではない。
簡単に割り切れない、家族への愛憎を描いているという点でなかなか面白い作品だった。

 

2冊目。

マルクス思想の核心」鈴木直

病院での待ち時間にテレビを見ていると、NHKの名著で100分の資本論がテーマの回をやっていて、面白かった。
「人新世の『資本論』」が読みたくなったけど、図書館では150人待ちだったので…
他のマルクスについて書かれた本を読んでみようと思った。

共産主義が良いとかではなくて、資本主義がもつ問題点について書かれたのが「資本論」やマルクスの他の著作だと思う。

マルクスは経済学者であるとともに哲学者でもあったんだな。
フォイエルバッハマルクスの思想の違いを知れたのが良かった。
というか、ずっとフォイエルバッハのことが気になっていたんだけど(笙野頼子の小説とか読んでいると、よくフォイエルバッハの「キリスト教の本質」の話が出てくるので)簡単にどういう思想なのか分かって良かった。
フォイエルバッハ無神論…人が神に見るものは人が理想とする人のあり方…人自身であったんだな。
マルクスはまたちょっと違う考えだったようで…
フォイエルバッハは人間の本質を個人に見ていたが、マルクスは人間の本質を社会に見ていた。

フォイエルバッハについて書かれたのはほんの一部分で…マルクスの思想を知ることのできる1冊。
私にとっては結構難しい本だったけど、面白かった。

 

 

3つ目。

「進学のよろこび」アリスター・E・マクグラス

佐藤優の「神学の履歴書」で紹介されていた…と思う。

もともと私は宗教に興味を持っていた。
最初に興味を持ったのは少なくとも小学校低学年の頃…

その頃から物語を見てもなぜか悪役に感情移入してしまう自分がいて…当たり前だが、最後は死んだり不幸になることが多いのが辛かった。
例えばかちかち山のタヌキのような、人を殺したような悪いヤツが救われるにはどうすれば良いのだろう?と子供ながらに考えた。
その結果、親または神様に許してもらうしかないな、と思った。

その後、大きくなってからは、親よりも断然神様の方が頼りになるよな…と思い、宗教に興味を持つようになったのだった。

この本を読むと、地位のある大人が何千年も、神について、救いについて、真剣に考え、議論し、体系づけていったことが分かる。
もちろん教会は権威でもあったから、その権威を保つための実際的な理由もあったんだろうけど…
でも、直接的に何か役に立つわけでもない、神様のことを深く真剣に考えた人がこれだけいることに…なんか感動してしまう。

私自身は教会に行ったりはしていないんだけど、人間の…というか自分の弱さを感じることは数え切れず…
人間よりも大きなものを信じることで、よりよく生きることができるような気がする。
上で無神論者のフォイエルバッハとかマルクスの話をしていて何だけど…神様がいるかいないのかとかは絶対に人間が分かることはない。でも、いて欲しい、という思いを抱くのも人間だと思う。

 

 

そんな感じで、3冊弱読んだ3月だった。

4月も3冊は読みたい。

 

バットマン:デス・イン・ザ・ファミリーを見た

私の好みど真ん中のストーリーだ!と思って見て、やっぱり私好みだ!と思って、満足した。

もともと私がアメコミ映画を見たのはファンタスティック・フォー【超能力ユニット】からで、本格的にハマったのはスパイダーマン3バットマンダークナイトから…
全部、もともとヒーローの仲間だった人物がヴィランになるという展開がある。

 

そんな大好きな展開があるのだけど、今回はただの仲間ではない。
バットマン…ブルースの息子のような存在である2代目ロビン、ジェイソン・トッドが死と復活によって敵対する存在になっていく…という悲劇が描かれるからこの上なく辛い…でも見ていて楽しい。
ジェイソンはレッドフードというダークヒーローになって躊躇いなく悪人を殺すが、ヴィランではないようだ。

特典に音声解説がついていて、2人の男女が明るく楽しく解説してくれるのを聞けて、より作品を理解できて面白かった。
ジェイソンが死ぬシーンはただでさえ辛いけど、そもそもコミックでは電話投票で生きるか死ぬかを決められていたというのが辛すぎ…(僅差で死ぬほうが上回ったので死んだ)
でも、その死を無駄にせずに活かしてバットマンの世界はより深まったのだし、さらに前よりも魅力的な存在としてジェイソンは復活することもできた。
そういう数十年にわたってのバットマンの歴史、ドラマの深さを感じることができて圧巻だった。


バットマンとロビンってただの仲間というか兄弟みたいな存在なのかと今まで思っていたけど、父と子の関係なんだということに気づけた。
そんな子供の一人が死んでしまった辛さ…生き返ったのに自分とは反対の思想を持って人殺しとなり、ヒーローになろうとするという悲しさ…ブルースの苦悩がものすごく伝わってきた。

この作品の特徴はこちらが選択肢を選ぶことによって、結末が変わっていくという仕様があること。
ロビンを生き残らせるか死なせるかの選択…80年代にコミックの読者が投票したことと同じような体験ができるのだ。


でも、「死ぬのは悲しいから後にしよう…まずは幸せになってほしいから~助かるにしようっと♪」と気楽に選んでみたら、助かったはずのジェイソンがどんどんゆがんだ方向に行き…ブルースとタリアの子供(ダミアン)を使って復讐しようとするというなんとも微妙なENDになってしまった。

私はジェイソン・トッドのことを何も知らんかったな…と反省した。ジェイソンは両親を亡くして(父親はトゥーフェイスに殺されて)その後ブルースと出会うまで一人で生きてきた。
彼の中には暗い過去から来る闇があり、ブルースが助けようとしても助けきれない部分がある。
幸せを願って選択肢を選んでも、なかなか幸せになってくれないジェイソン…切ない。

 

選択肢によってはジェイソンが宿敵であるトゥーフェイスに復讐するという展開が見られる。
私はトゥーフェイスが大好きなのでめっちゃうれしかった~!!

ジェイソンを殺すかどうかのコイントスで表か裏かの分岐が出るのが良い!
トゥーフェイスの運命を私が決めて良いの?!って興奮する!!

表が出たら殺さない、裏なら殺す…ではない、単純ではないトゥーフェイスなんだけど、そういうところも好きだな。

出演シーンは短いが、トゥーフェイスの魅力は十分に感じる。
バットマン・フォーエバー」みたいな馬鹿さはないが、「ダークナイト」みたいな悲劇性もない。賢く恐ろしいヴィランである。
ジェイソンの親だけでなく沢山殺しているから復讐されることに慣れっこになっている。また、どうすればジェイソンを苦しませることができるのか分かっている。

ハービーはジェイソンと似たところがある…もともと正義の側に立ち、またブルースの友人でもあったから。
(殺人もするとはいえ、あくまで正義側にいるジェイソンとヴィラン側にいるハービーとでは大分違うが…)

トゥーフェイス好きだからトゥーフェイスの話したけど、メインヴィランはジョーカーだ。
この作品のジョーカーは怖いしシリアス性が強い。
あんまりユーモアがないけど、ジェイソン殺すのにコメディみたいなのになっても微妙だからこれで良い気もする。
あと、選択肢を選ぶたびにブラックマスク(ハーレイ・クインの覚醒に出てきたヴィラン)が死んだり死にかけたりするんだけど、セリフもほとんどないのに、まあまあ強そうなんだけど小物な成金感が伝わってくる。

 

仲間で息子のような存在だったジェイソンの死という厳しい運命に直面し、さらに復活からの敵対というキツイ展開に直面してもブルースはジェイソンとは違う道であるバットマンであり続ける。
バットマンのすごさを改めて思った。
バットマンの数十年単位の歴史の中で、多くの人がそれぞれの解釈でバットマンと向き合ってきたという重みも感じる作品だった。

 

 

2月に読んだ本

突然だけど、2月に読んだ本について。


読んだのは3冊。

 

まずは1冊目。

若き光圀公が出てくる時代小説。
主人公は了助という子供。闘って強くなっていくのを光圀も見守る。

 

なぜ読んだのかというと、この作品を原作にしたNHKBS時代劇にシゲが出ていたから。

www.nhk.jp

ドラマは見ていないんだけど、シゲの悪役ってどんな役したんかなーと。
錦氷ノ介という役だったんだけど、かなり残虐非道で大量殺人して殺し方もエグくて、シゲこんな役演じたの?と驚く。
でも、ファンからしたらこういう役やってくれるの嬉しいよね。私だったら絶対喜ぶ。

哀しい過去があって、父親とも因縁があって…という、悪役ながら少し同情できる部分も。
ただのサイコパスとは違うし(ただのサイコパス好きの方がいたらごめん)ファンからしたら美味しい設定だね。私だったら(以下略)
続編も読んでみたい。その後でドラマも見たい。

 

2冊目。

大分前のハヤカワのKindleセールで買ってずっと放置していた。

少しずつ読んではいたけど、なかなか進まず…
読むぞ!と思って読み始めたら、止まらなくなって…
スマホから目が離せず、日常生活に支障が出そうになるレベルに…

すごかった、という感想しかない。

 

SF小説ってありえないような面白い設定で書くのもすごいけど、現実とそう遠くない未来の世界をきっちり設定して、ありえそうな未来を読者に見せていくのは別のすごさがある。

2000年代に書かれた小説だから、トランプ大統領が出てきた以降のアメリカを知っていると、ちょっと違うかな…というところもある。主人公はアメリカ人だけど、国際的な格差ばかりでアメリカ国内の格差とかは出てこない。
でも、現在から見てもほとんどズレがなく、面白いと思うし、ぜひ読んでほしい。

 

3冊目。

 

正欲

正欲

Amazon

図書館で予約していて、やっと読めた!!

これもすごい!(語彙力ないな)

 

多様性を謳う時代、それでも社会には受け入れられない性嗜好を持つ人たちが出てくる話。
その人たちだけの視点ではなく、色々な視点から語られるので考えさせられる。

ある物事やシチュエーションにしか性欲を満たせない、それを満たしたいという基本的な欲望をどれだけ受け入れられるか…
正直、小学生ユーチューバーに色々性的(に一見見えないが、その人からしたらオカズになる)リクエストをする人たちのことを私は受け入れられない、と感じてしまった…
小学生だから特に嫌なのかもしれないけど…

どこまで受け入れられるのかってどうしても人それぞれ限界がある。
それが人を深く傷つけ、生きる糧を奪うことになるかもしれない。

ただ、特殊な性嗜好を持つとはいえ、普通に就職して正社員として働いていたり、大学生でもいわゆる「陽キャ」のサークルで溶け込めているのは正直うらやましい。
働いていなかったり、人の輪から孤立しているような人に対しても社会は厳しいから…
もちろん、うらやましいとか言うのは失礼な話で、表面的に社会に適応しているだけでは幸せになれない障壁があるから苦しんでいるんだろうが…

 

読んだ人によって感想も変わると思うので(どの本もそうだと思うが、それによって社会との向き合い方が変わるかもしれないので)ぜひぜひおすすめしたい。

 

3月もこういう記事が書けたら良いな。